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東京猫物語 第八十三話ー⑪ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十三話 里親会の顛末弐ー⑪

看護助士おばさんがうつむき加減に目を逸らしたところで、獣医師の顔に侮蔑と優越感の混在した表情が見て取れました。
私は何度となく、これと同じ表情を勤務先の経営者の顔に見た覚えがあります。社員が失敗したり的はずれな意見を述べたりすると、先ずその経営者の口から一言ついて出ます。
「ん。そうかな?」
経営者の顔は喜びを噛み殺して鼻で笑うという類の、何とも言えない表情に変わります。
「こいつはばかか!ふん。それに比べて何て俺は賢いのだ」
経営者は口頭で注意をする代りに先ず部下を見下し、次にほぼ同時に優越感を抱くことによって自己満足と至福の世界に陶酔しているのです。
日頃、顧客にも業者にもどこにも頭が上がらないので、唯一従業員だけが抑圧された心の捌け口なのです。
獣医師の診断は、関係者の期待を裏切る結果となりました。
(続く)

以上
管理人
2016.10.02

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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