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東京猫物語 第八十三話ー⑫ [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十三話 里親会の顛末弐ー⑫

「まあ、またそれらしい子が見つかりましたら、いつでも連れて来て下さい。そんなに遠くには行かないでしょう」
獣医師の慰めともならない慰めの言葉を聞いている内に、診察室の中の二人は解凍されました。
「ありがとうございました。お騒がせ致しました」
看護助士おばさんが獣医師にお礼を言うと、里親女も後に続いて深々とお辞儀をしました。

看護助士おばさんが初診料を含む診察代金、数千幾らかを受付で支払いました。財布からお札を出す時、看護助士おばさんの頬は紅潮し、顔が強張っていました。
私たちは元来た道を引き返しました。途中、口を開く者は誰もいません。どんより曇った空模様が、私たちの胸の内を代弁していました。
程無く私たちは里親女のハイツの前に到着しました。
看護助士おばさんと里親姉妹は、今後の捜索と諸費用の清算について手短に相談しました。
キャリーバッグの中の猫に本来の飼主が見つからない場合、看護助士おばさんが自宅へ引き取ることになりました。
(続く)

以上
管理人
2016.10.09

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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