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東京猫物語 第八十五話 [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十五話:「猫の集会」:

ここで言う「猫の集会」とは、猫町公園における猫の集会のことです。
猫の集会は、主に夜開かれます。
真冬の厳寒日、雨の日、風の強い日の開催はありません。
猫の集会は通常、夕食後の午後七時過ぎから十時頃の間に開かれます。
当日猫の集会に参加する構成員は、予め決まっていません。
猫の集会に参加できる「人」もいます。
猫の集会に参加を許された人は、私を含めて限られた人だけです。
例え猫の集会場に居合せても、猫たちに仲間と認められ、猫の集会のエアー(air)を感じ取ることができない人は、猫の集会の「参加者」ではありません。
猫の集会 弐
猫の集会とは、人の視覚から得られる、猫がたくさん集まっている様態だけを言うものではありません。
そこには、うるさく啼き立てる猫はいません。
他の猫たちとの和を乱す猫もいません。
猫の集会の参加者は、同じ時間に同じ場所で、同じ風を感じて、同じ音を聞きます。
猫の集会に参加する猫たちは、皆顔見知りです。仲良し同士は最初に挨拶を交します。
猫たちの挨拶はおおよそ次の二通りです。
お互いの鼻と鼻を合わせる挨拶、相手のお尻の匂を嗅ぐ挨拶。
猫の集会の参加者と認められた人に、挨拶に来る猫もいます。
猫たちは、親しいその人の足の甲に頭を擦り付けたり、脛に体をすり寄せたりして挨拶を済ませます。人と猫が親密な関係にある場合、人が猫の目線に鼻を突き出すと、猫もそれに応じて鼻をくっつける場合があります。目を開けていると、猫も寄り目です。
猫の集会 壱
集会に参加している猫たちは、皆大概くつろいでいます。
スフィンクスのように腹這いに伏せている猫。上体を起して座っている猫。
ある猫は毛繕いをし、また別の猫はただじっと前を見つめています。
集会に参加している猫たちは、お互いに他の猫たちから適度な距離を保っています。大人の猫たちは、お互いに深く干渉しません。
静かな夜の猫町公園。
聞えてくるのはコオロギの鳴く声、遠くの国道を走る車のエンジン音、どこかで吼える犬の声。
微かな物音にも、猫たちの耳はぴくぴく、くるくる反応します。
耳のレーダーが捕えた情報は脳に伝えられ、猫たちは公園にいながらにして遠くの様子をおぼろげに理解します。聞き慣れない音を感知すると、猫たちは頭をもたげて神経を尖らします。突然、見知らぬ来園者があると、猫たちの注意は一斉にそちらへ向けられます。

猫たちは微かな羽虫の音さえも見逃しません。
暗闇の中に浮かび上がる街灯の明かり。光に誘われた蛾が宙を舞うと、それに目を止めた若い猫が透かさず後を追い掛けます。別の若い猫も、先の猫に従って蛾を追い掛けます。静寂の闇の中、街灯の明かりを縫って二匹の若いしなやかな肢体が交錯し、躍動します。
「何事か」と年配の猫たちは二匹を目で追うものの、冷ややかに遣り過ごします。猫たちと同じエアー(air)を感じ、日常を忘れて猫たちの世界に違和感なく溶け込んだ時、私は猫の集会の参加者であることを実感できます。

猫の集会は、参加者の自由意思で退席できます。
一匹減り、二匹減り、猫の集会は自然散開となります。
酔っ払い、塾帰りに寄り道する子供たち、三本足の猛猫、等々。思わぬ侵入者によって、猫の集会は突然散開となる場合もあります。

以上

管理人
2016.12.4

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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