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東京猫物語 第八十六話 [「東京猫物語・外猫観察記」(管理人著・猫のお話)]

東京猫物語
第八十六話:猫の啼き声

「ニャオーン」
猫町公園の猫たちは、あまりこういう啼き方はしません。

「エ」「エン」「メ」「ミィ」
私の顔を見て猫が短く声を発する時、これらはちょっとした挨拶。また、こちらからの呼び掛けに対するお義理の返事。

「ニャーー」「ワーウオーーン」「ミイーー」「エエーーー」
長く、高い調子で猫が啼く時、たいてい、何かしら要求があります。おやつが欲しい等。要求が満たされる迄、少し大きめの声で繰り返し啼きます。かすれた声で啼く猫もいます。要求が満たされないと、猫はいっそう大きな声を張り上げて催促します。不満、抗議の場合も然り。私がオカリナを吹くと、こんな風に啼いて止めさせようとする場合もあります。

猫同志の遣り取りの場合、啼き声はまた異なります。

「ウンンーー」「ンアーーンー」「ウワアーーン」「ンオーン」
雄猫たちの睨み合い、威嚇の時、長く張りのある啼き声です。
人間の赤ちゃんが泣いているかのように聞える場合があります。
威嚇の声は低い調子から徐々に高い調子へ、そして大音声に変わります。
じっと蓄えられていたエネルギーが噴出するマグマの如く高揚し、ついには
「ギャッー」「ウエーー」という合図と同時に取っ組み合いの喧嘩に発展する場合もあります。
「ドッ」「ボッ」
二匹の猫が組み合いつつ、大地を転がる鈍い音を立てて庭の花をなぎ倒してしまいます。
明らかに劣勢の立場にある雄猫はあまり啼きません。啼いたとしても、消え入るような声です。片方の雄猫の威嚇する声ばかりが際立つ時、劣勢の雄はその場から立ち去り、平和裏に勝敗が決する場合もあります。

「ウアーン」「アーウォン」「ニャーグゥォン」
雌猫雄猫、恋の季節。
大きな声が近所によく響き渡ります。巻き舌で発音するのか、あたかもうがいをしながら発声するのか、声帯を震わすかのような啼き方です。

「ミィ、ミィ、ミィ」「ニャオ、ニャオ、ニャオ」
仔猫が母猫を呼び求める時、すがるように同じ調子で何度も啼き続けます。
疲れると一時短い休みを入れた後、再び必死に啼き続けます。

「ミャオ、ミャオ、ミャオ」「アオ、アオ、アオ」
母猫が仔猫を捜す時、傍に来いと呼ぶ時、短く区切り早く力強く啼きます。
仔猫が母猫を呼ぶ声より、めりはりの効いた調子です。
仔猫がなかなか出て来ないと、母猫の啼く声は段々哀しみを帯びて間延びして行くように思われます。

仲の良い猫たち、顔見知りの猫たちが一緒に過ごす時、啼いて声を掛け合う必要は殆ど無いようです。

人に向かって頻繁に啼く猫と、そうでもない猫がいます。
人に対する猫たちの親密さの度合によって、態度が異なるのでしょうか?遺伝因子が左右しているのでしょうか?後天的に形成された、性格の違いなのでしょうか?よく啼く母猫から生まれた仔猫たちが、皆一様によく啼くとは思えません。しかし、よく啼く仔猫と似た毛色のきょうだいは、やはりよく啼くようにも見えます。

うちのこ(猫)は、テレビのドキュメンタリー番組等に登場する「本物の」猫の声に対しては反応します。しかし、外国映画やアニメから流れる「人が吹き替えた」猫の声には一切反応しません。どれ程巧妙でも、人が真似した偽の猫の声は、猫にとっては人の声でしかありません。

以上

管理人
2017.1.10

「どこにでもいるような飼主のいない猫たち。彼らのことをよく知るほどに、きっと素敵な猫に魅せられるはず。飼主のいない外暮らしは、猫たちにとって決して楽ではありません。どうぞ、懐いたらお家に迎えてくださいね」

*東京猫物語は1998年から数年間、東京都心の某公園で猫たちを観察した体験に基づく実話です。
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